写真館ヒストリー(1)アンソニーカメラ

写真館こばやしは創業1913年より地域の皆様に支えられ、昨年創業110周年を迎えることができました。
この場を借りて心より御礼申し上げます。

110周年を記念して当スタジオに残る歴史的品々とそのストーリーを紹介していきたいと思います。

第1回目は店頭に飾っている木製カメラです。
こちらはいわゆる「アンソニーカメラ」と呼ばれるものです。
1870年にアメリカのアンソニー社が高級木製カメラを発売し、以降日本に輸入され写真館で広く使われるようになりました。それ以来日本のメーカーもこの型のカメラを多く発売し始めたことで、アンソニー社が製造したものでなくてもこのタイプのカメラは一様に「アンソニー型」「アンソニータイプ」などと呼ばれるそうです。

しかしこちらのカメラが実際にアンソニー社発売の輸入品なのか、それとも日本のメーカーが製造したアンソニー型カメラなのかは実際のところ由緒がよく分かっていません。
大正末期から昭和初期に導入され、昭和の中頃までは使われていたとのことです。

当スタジオのある新潟県長岡市の地区は第二次世界大戦中に空襲を受け、ほぼ焼け野原となってしまいました。
当時の先代はこのカメラを筆頭とする仕事道具やガラス乾板を持って疎開したおかげで難を逃れたそうです。

唯一の手掛かりになるのがこちらの写真です。既に他界している当スタジオ2代目が中学生の頃に撮影されたであろうこの写真(左側)。後ろに見えるのがアンソニーのカメラです。最低でも90年前には当スタジオに存在していたことになります。

 

当時はガラス乾板といったものが使われていました。
こちらに装填し、感光できるように幕をスライド、シャッターを切って撮影していました。
中枠を入れ替えることで縦でも横でも撮影が可能です。
動く仕組みは動画をご覧ください。レンズを通して道路の向こうが上下逆さまに写っていますね。

紹介は以上になります。
ご来店の際に眺めてみてください。

大変古いカメラのため、くれぐれもお手を触れませんようお願い申し上げます。

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